ポットチェンジ完了!

毎年のことですが、二月の中旬にポットチェンジが始まり、そして終わりました。ポットチェンジというのは、溶解炉の中にあるポット(ガラスを入れておくるつぼ)を交換することで、ガラス溶解炉では欠かせないメンテナンスです。

ガラスの溶解炉は、使わないときでもずっと1000℃以上を保っていなければいけないのですが、同じポットをずっと使っていると、ガラスの浸食によってだんだん溶けて薄くなっていき、いつかは穴が開いてしまいます。いざ穴が開いてガラスが漏れ出すまで、交換せずにがんばるガラス作家さんもいるのですが、それだと制作などの予定が立たなくて怖いので、うちでは決まった時期にしています。

メンテナンスでは、溶解炉の前の扉をがばっと開いて、(断熱材やコンクリートの塊が置いてあるのでそれを外す)中のポットを取り出し、周りにこぼれて溶けたりしたガラスをはつったり(これが大変!)、バーナー口の耐火材を新しく詰めなおしたりして掃除をしてから、新しいポットを入れます。うちの工房には、通常コバルトと緑のガラスが溶けている小さい色つぼも二つあるので、それも入れ替えます。

すべてキレイになったら、もう一度コンクリートの扉を置いて、断熱材を詰めたり塗ったりしてふたをします。

そして点火!最初は種火が消えたりしやすいので、空気と燃料の比率を調整しながらバーナーの炎が落ち着くのを見守ります。昨日の夕方から火を点けて、20時間ほどたった今は860℃、キープもしながら三日ほどかけて、ゆっくり温度を上げます。そしてガラスの原料を投入して完了です。

ガラスを始めてから、取材などで「どうして吹きガラスを?」と聞かれることが多く、いろんな理由があるような気がして、うまく一言で答えられなかったのですが、最近「カマのある生活が好きだからですかね~」と答えることが多いです。
実際、夜もずっとブロワーのモーター音が響き、常に1000℃以上の熱を持っている溶解炉はパワースポットのようで、私は大好きなのです。
というわけで、いまやっと溶解炉の火が戻ってきて、また働かないといけないにしても、わりとホクホクしています。

ハセガワヨウコ

オマケ。
火を消す前、ガラスを掻い出す時の装い。横にあるでかいお玉でガラスをすくって出す、すごく熱い作業だからこんななのですが、不必要に迫力あり。